15の春は遠いか?

2004年2月4日
あ、一日、何回日記、書くつもりだろう?
今回は、いい話。

今日、某高校理数科の推薦入試を受けて帰ってきた3年生の女の子。
目に涙を浮かべながら、「先生、ちょっといいですか?」ってやって来た。
話を聞くと、一問目の小論文の出来が、とっても自信が無いって事だった。
どんな問題が出たのか一寸聞いてみた。概要はこうだ。
『片側2車線の道が立体交差している。これを平面交差にして、かつ、信号機が無くても交通がスムーズに流れるようにしたい。どのようにすれば良いか、図を用いながら説明せよ』
この問題を聞いた時に、私は出題者の意図と、彼女が何故泣かねばならないくらい、悔しい思いをしたのか、手に取るように想像がついた。
彼女は、淡々と、自分の書いた内容を述べてくれている。結論、彼女がたどり着いた答えは、そのような交差点は不可能 だった。それは彼女の満足いく答えでは無かった。問題は、「スムーズに流れるようにしたい」であるから、必ずスムーズに流れる交差点の形が有る筈、その思いとは裏腹の答えしか導き出せない、つまり、この解答では点数は無かっただろう。(小論文2問と、面接が入試の内容だから、これ1問が解けなかった事=合格は致命的)全力でぶち当たっても尚、自分の思いと裏腹の解答しか作れなかった。これで泣かない子がいるだろうか。

さて、私はこう答える。
「そうだったか、それは大変な問題だったね。そんな予想外の問題、そう簡単に解けないですよね。悔しいよね。ところで、周りの受験生のようすはどうだったかい?みんな、君と同じように頭を抱えていたでしょう?」
「ええ、そうでした、知り合いの子も同じように判らないって言っていました」
「そうでしょう。つまり、みんな、判らなかったのです。大丈夫ですよ。何故なら、この問題に正しい答えは無いんです。逆に言えば、全ての答えは正しい可能性がある。ということ。どの受験生もみんな、同じ条件なんですよ。」
「え?」
「私はこのような考え方を提案し、それを相手にどれだけ伝えられるか。がこの問題の真の意図なのですよ。あなたは、自分なりに、精いっぱい自分の考えを答えましたよね?」
「ええ!」
「それが正解です。後は、あなたの答えを、採点官がどのように感じ取ってくれるかにかかっています。自分が精いっぱいの仕事をした自信があるのなら、あとはそれを信じて待つしかありませんよ。」
彼女の涙は少しは引いたかな? 本当に合格してくれる事を祈りますが、結果は、こればっかりは、ほんと、蓋をあける迄、誰にも判りません。

ちなみに、私はこの出題、でーれー感動いたしました。
懸命な諸氏ならお判りの通り、信号がいらず交通を妨げない平面交差。実はあるのです(ロータリー交差点ですね)
これに気付かせないように、立体交差の例を出して、前フリしてあるあたりとか、非常に作為的。この罠をかいくぐって、ロータリー交差点に辿り着いた子がいればたいしたもんです。
しかし、ここに辿り着く、辿り着かない、よりも、結果を導き出す為の論理を構築する能力を試す問題なのは火を見るより明らかでしょうね。

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